長期投資の優位性
「 長期投資で考えれば勝てる」「初心者はインデックス+長期投資」という説明をよく見かけます。本当でしょうか?長期にわたって値下がりし続け、全く上昇しない銘柄も存在し、そのような銘柄を長期投資すれば悲惨な成績となります。定期購入により平均取得価格は下がっているかもしれませんが、肝心の価格が上昇しなければ傷口を広げているにすぎません。
長期投資に優位性があるのは税金面です。今回は売買回数と資産の関係性を検証します。
山崎元さんの「長期投資を成功させる方法」
楽天証券経済研究所 客員研究員の山崎元さんの長期投資に関する動画です。話の内容は基本的な内容で分かりやすかったです。山崎さんの本は図書館で片っ端から借りて読みましたが、難しい言葉が少なく初心者に優しいですね。
長期投資は税金を節約できる
売買し利益を確定させるたびに税金がかかります。手にした資産を再投資したとしても税金を引かれることで資金は目減りし福利効果は薄れます。また、売買する毎に証券会社に払う手数料も運用成績を落とす要因です。
長期投資のメリットを年数×資産で比較
以下条件で売買したとき、資産にどのくらいの差ができるのか比較します。
【前提条件】
・期間:30年
・資産:100万円
・運用利回り:年8%
・税金:20.315%
【売買条件】
① 30年保有し売却
② 5年毎に売却・再投資
③ 1年毎に売却・再投資
※売買手数料は未考慮
【0年~30年グラフ】
30年間ずっと毎年8%上昇するという理想的な条件であり一見無理そうに思えます。しかし、投資の神様ウォーレンバフェットは平均年率20%の運用を数十年間続け、世界有数の資産家となりました。一般人にこのような運用はできませんが、銘柄を選定し配当の再投資を行うことで年8%の運用利回りは全くの不可能ではない数字と思います。
投資成績比較
前記条件での30年運用した場合、税引き後の資産は以下のようになりました。
【25年~30年グラフ】
① 30年保有し売却:822万円(+722%)
② 5年毎に売却・再投資:673万円(+573%)
③ 1年毎に売却・再投資:639万円(+539%)
※30年保有し非課税だった場合:1006万円(+906%)
※( )は元本100万円に対する増加率
※売買手数料は未考慮
運用利回りは同じでも売買回数を増やしていくほど福利効果は小さくなります。この結果からも売買回数を可能な限り減らすことは資産形成に重要であることが分かります。今回は売買手数料を考慮していませんが、売買回数が多いほど影響は大きくなり運用成績は悪化します。
長期投資に最適な資産は?
何度も売買しなくてもよい投資信託やETFが向いていると思います。米国株の配当貴族銘柄も候補に挙がりますが、個別銘柄は株価変動が大きく悪材料が出れば売買せざるを得ない状況に陥ります。その点、投資信託やETFはファンドがリバランスをしてくれるので長期投資向きと言えます。